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ビットコインキャッシュ(BCH)とは

ビットコインキャッシュは2017年8月にビットコインの後方互換性のないアップデートにより誕生したブロックチェーンです。「ビットコインはどうあるべきか」という問いに対する思想の違いからビットコインは分岐に至り、ビットコインキャッシュが生まれました。
またビットコインキャッシュ上で流通する暗号資産(仮想通貨)をBCHと言います。

この記事ではビットコインキャッシュとBCHの概要や特徴についてご紹介します。

ビットコインキャッシュとBCHとは

ビットコインキャッシュとBCHとは

ビットコインキャッシュは2017年8月に方針の違いからビットコインと袂を分かつ形で分岐し誕生したブロックチェーンです。ベースとなるコードはビットコインと同じものを共有しています。またこの分岐により誕生した暗号資産(仮想通貨)をBCHと言います。2022年12月29日時点、BCHは時価総額約2,560億円で、時価総額ランキング26位の暗号資産(仮想通貨)です。

ビットコインとビットコインキャッシュが分岐することになった原因は、「ビットコインはどうあるべきか」という問いに対する答えです。ビットコイン陣営は価値の保存機能に重きを置く一方で、ビットコインキャッシュ陣営は支払手段として、つまりキャッシュとして利用できるべきであるという思想を持っていました。

その思想の違いが色濃く反映されたのがブロックサイズです。ブロックサイズは、10分ごとに生成される一つのブロックの容量のことで、容量が大きければ大きいほど多くのデータを格納でき、多くのトランザクションを処理することが可能です。一方でデータの大きさは、伝播速度の低下やマシンが必要とするスペックの高度化をもたらします。

価値の保存機能に重きを置くならば優先すべきはネットワークの堅牢性やセキュリティであり、支払手段としての機能に重きを置くならば優先すべきはスムーズに支払いを完了させるための処理能力です。

ここにはトレードオフがあり、両方を何の犠牲もなく手に入れることは現在の技術では難しく、結果的にビットコインキャッシュが生まれることになりました。

誕生の背景と処理性能向上への姿勢の違い

重要視する性質が価値の保存であれ支払手段であれ、より多くのトランザクションを処理できるに越したことはありません。では、ブロックチェーンのトランザクション処理能力はどのように決定されるのでしょうか。

トランザクション処理能力は、以下の表の通り、
・ブロックサイズ
・ブロックタイム
・書き込み頻度
によって左右されます。

ブロックサイズ
ブロックタイム
書き込み頻度
現状
1MB
10分
ほぼ全ての
トランザクション
考えられる変更
10MB
2分
トランザクションの10%
課題
ブロックの伝播遅延
要求マシンスペックの上昇
破壊される計算力の上昇
セキュリティ強度の低下
実例
ビットコインキャッシュ
(8MB)
ライトコイン
(2分半)
ライトニングネットワーク

「現状」はビットコインの現状を示しており、「考えられる変更」は現状をどのように変更すると処理能力が向上するか、についての例を示しています。

ブロックサイズは大きいほど、ブロックタイムは短いほど、書き込み頻度は小さいほど、ブロックチェーンの処理能力は高くなります。

ビットコインキャッシュはブロックサイズを1MBから8MBに引き上げる変更を行いました。ブロックサイズの拡大によって、ビットコインとビットコインキャッシュの間には互換性がなくなったため、同一のブロックチェーンとはみなされず、2017年8月にブロックチェーンの分岐が成立しました。
その後、ビットコインキャッシュについては再びブロックサイズの引き上げが行われ、現在のブロックサイズは32MBとなっています。

ビットコインからの分岐ではありませんが、ライトコインはビットコインのコードをベースにブロックタイムを短縮して、より多くのトランザクションを処理できるように変更を加えています。

また、ビットコインではいわゆるレイヤー2ソリューションと呼ばれる技術の開発が行われており、代表的なものがライトニングネットワークです。ライトニングネットワークは、特別な仕組みを使うことで、ブロックチェーンへの書き込み頻度を少なくした上で、BTC(ビットコイン・ブロックチェーン上で流通する暗号資産(仮想通貨))の送付を安く・早く行うことを目指しています。

レイヤー2ソリューションは、「ベースとなるブロックチェーン自体は処理性能が低くても安全性を第一に考えて設計されるべきであり、トランザクション処理能力はブロックチェーンのセキュリティを最大限引き継いだ形で設計されるレイヤー2で処理されるべき」という考えに基づいて開発が行われています。

分岐により誕生したブロックチェーンプロジェクトの利点

ブロックチェーンの分岐によって、元々のビットコインがビットコインとビットコインキャッシュの2つに分かれました。これは分岐が発生した時点で1 BTCを所有していた人は、分岐後には1 BTCと1 BCHを所有することを意味します。

いくつかの取引所がBTCを取引所に保管していたユーザーに対してBCHを付与することを表明したことで、BCHの取引が行われ、BCHに市場価格がつきました。これによってBCHが資産としての価値を持ったため、その他の取引所でもBCHの付与が行われました。

このことはビットコインキャッシュにとって強い追い風となります。なぜなら、多くの暗号資産取引所はBTCを取り扱っているためです。既存ユーザーからの要望と新規顧客獲得のために、多くの取引所はBCHの付与と取り扱いを行いました。

このようにしてビットコインキャッシュはコードのみならず、ユーザー基盤や取引所での取扱件数という資産も獲得できたのです。多くの新規プロジェクトは、大手の取引所で自分たちのトークンを取り扱ってもらうことに苦心し、時には上場コストを支払う場合もあります。

しかし、ビットコインキャッシュはそのような努力を強いられることなく、ユーザー基盤と取引インフラを得ることができました。

ビットコインキャッシュ陣営が事前にこのような絵を描いて分岐騒動を起こしたわけではありませんが、これを見てビットコインキャッシュと同じ手法でビットコインの資産の引き継ぎを行おうとし、無数の分岐が行われました。

これにより、市場で価値がつかないような暗号資産(仮想通貨)も多数生まれました。しかし、今に至るまでに生き残っているものは、BCHや後述するBSVなど少数の暗号資産(仮想通貨)のみです。

ビットコインキャッシュとビットコインの共通点と違い

ビットコインキャッシュとビットコインの共通点と違い

ビットコインキャッシュとビットコインの共通点と違いをみていきましょう。

ビットコインキャッシュとビットコインの共通点

ビットコインキャッシュとビットコインにはブロックサイズという大きな違いはありますが、ブロックタイム(10分間)や発行総量(2,100万)に違いはありません。また、両者ともSHA-256というアルゴリズムを採用しているため、同じマイニングハードウェアで採掘が可能です。これは価格と採掘のしやすさによって決定される収益性に基づいて、ビットコインとビットコインキャッシュ、どちらを採掘するかをマイナーが選択できることを意味します。

つまり、BCHの価格が大幅に上昇することで収益性が向上した場合、先程までBTCを採掘していたマイナーたちはこぞってBCHの採掘を始める可能性があるということです。

ビットコインとビットコインキャッシュでは、投下されている計算量が大幅に異なります。そのため、何かのきっかけでBCHの価格が大幅に上昇すると、ビットコインのマイナー達もビットコインキャッシュの採掘に参加することで、多くの計算量が投下され、採掘の難易度が急上昇します。その後に価格が下落し、マイナーが採掘を止めた場合、次の難易度調整までは難易度が高いまま、少ない計算量でブロックを採掘しなければなりません。

その場合、ブロックタイムは10分以上となり、ブロックが掘られにくい状況となる可能性が生じます。これを回避するためにビットコインキャッシュに導入されたのが、次節で解説するビットコインとは異なる難易度調整の仕組みです。

ビットコインキャッシュとビットコインの違い

ビットコインキャッシュとビットコインの最大の違いはブロックサイズですが、ブロックサイズ以外にも難易度調整を行うアルゴリズムにも違いがあります。

難易度が高ければ高いほど、ブロックを採掘するために必要な計算量が大きくなります。逆にいうと難易度が一定であれば、より多くの計算量が投下されると10分未満の頻度でブロックが生成されることになります。

ブロック採掘に必要な時間を平均して10分に収束させるために難易度の調整を行うことを「採掘難易度の調整」といいます。

ビットコインは約2週間ごとに、ビットコインキャッシュは10分ごとに、それぞれ難易度調整を行います。ビットコインキャッシュは、ビットコインに比べて投下されている計算量が少なく、またビットコインと同一のアルゴリズムを使っているため、大口マイナーの計算力の投下先の振り分けによってより大きな影響を受けてしまいます。そのため、より高い頻度で難易度調整を行い、ブロックタイムが安定するように工夫されているわけです。

他にもビットコインキャッシュとビットコインでは、スケーラビリティ問題の解決法に対する考え方が全く異なっています。スケーラビリティ問題とは、元々のビットコインネットワークの処理能力が制限されていたため、ビットコイン取引の拡大に伴って未処理の取引が滞り、処理速度が低下して手数料が高騰してしまったという問題のことです。この問題を解決すべく、「セグウィット(SegWit)」と「ビッグブロック(BigBlock)」の2通りの方法が提案されました。

セグウィット(SegWit)では、取引データ自体を圧縮するため、ネットワークの処理能力を変えることなく、処理スピードを高めることができます(この方法はソフトフォークが発生しました)。これに対して、ビッグブロック(BigBlock)では、ブロックサイズ拡張を通じて処理能力を向上させることで、ネットワークの混雑の解消を目指しましたので、取引記録台帳の分岐を生じさせました(ハードフォーク)。この対立によりブロックチェーンの分岐が発生したわけですが、後者のビッグブロックの考え方が、ビットコインキャッシュの誕生に繋がったと言えます。

ビットコインキャッシュの分岐

ビットコインキャッシュの分岐

ビットコインが分岐したことにより誕生したビットコインキャッシュですが、ビットコインキャッシュからは更にビットコインサトシヴィジョンという128MBのブロックサイズを持つブロックチェーンが、分岐によって生まれています。

ビットコインキャッシュやビットコインサトシヴィジョンにはそれぞれ異なる思想があり、細かい仕様は異なるものの、最も大きな差異はやはりブロックサイズです。ビットコインサトシヴィジョンの独自トークンBSVは2022年12月29日時点、時価総額約1,050億円で時価総額ランキング43位に位置します。

ビットコイン、ビットコインキャッシュ、ビットコインサトシヴィジョンと、それぞれのプロジェクトには固有に思想があるものの、ユーザーにとって重要なのは、どのプロジェクトが最も活発に開発が行われ、安全にアップデートが行われ、ウォレットや取引所のサポートが充実しているかです。

興味を持った方は開発動向や過去数ヶ月〜数年の価格推移などをチェックすることで、これらのブロックチェーンおよびトークンについてより深く知ることができるでしょう。

まとめ

この記事ではビットコインキャッシュとBCHについてご紹介しました。

ビットコインキャッシュは、ビットコインの後方互換性のない分岐により誕生したブロックチェーンです。ベースとなるコードはビットコインと同じものを共有していますが、ブロックサイズが大きくビットコインよりも多くのデータを格納できる、ブロック採掘の難易度調整がビットコインよりも高い頻度で行われるなどの特徴があります。
またビットコインキャッシュブロックチェーン上で流通するBCHはGMOコインの「販売所」、「取引所(現物取引)」で購入できますので、ビットコインキャッシュやBCHに興味がある方はお取引を検討してみてはいかがでしょうか

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