リップル(XRP)とは

XRPは2022年12月29日現在、時価総額2兆3,510億円ほどで6番目に時価総額が大きい暗号資産(仮想通貨)です。リップルと呼ばれることが多いのですが、正しくはXRPが暗号資産(仮想通貨)の名称です。
また暗号資産(仮想通貨)XRPおよび分散型台帳技術を応用した国際送金ソリューションを開発する企業名、またはそのシステムを「リップル」と言います。

この記事ではリップルとXRPについて概要と特徴をご紹介します。

リップルとXRPとは

リップルとXRPとは

XRPは米国に本拠地を置くリップル社が主体になって開発を行なっており、XRP Ledgerを基盤として構築しています。XRP Ledgerとは、既存の国際送金システムよりも安くて迅速な国際送金ができるシステム構築を目指して開発された分散型台帳です。XRPはXRP Ledger固有の暗号資産(仮想通貨)で、次世代型決済ネットワークの実現のために、他の通貨での取引が簡単にできるブリッジ通貨として開発されました。

一企業が中心となって開発を主導していることから、中央集権的な要素のある暗号資産(仮想通貨)です。分散型台帳技術を使っていますが、台帳への記録にブロックチェーンを使用しておらず、他の暗号資産(仮想通貨)とは大きくその性質が異なります。

基盤となるXRP Ledgerの取引承認は、ブロックチェーンのようなオープン型分散型台帳ではなく、リップル社が選出するバリデーターと呼ばれる代表者によって行うクローズド型の分散型台帳です(詳細は後述)。

XRPの総発行数量は1,000億 XRPと上限が決まっていますが、2012年のリリース時点ですべてのXRPは発行済みで、新規発行は行われません。また発行済みのXRPはすべてが流通しているわけではなく、総発行数量の約60%をリップル社が保有し、そのうちの550億XRPはエスクロー(第三者預託)によってロックアップ(凍結)されており、毎月最大10億 XRPをアンロックできるとされています。

XRPは金融機関等が国際送金を行う際のブリッジ通貨として使用することを想定しているため、価格が高騰してしまうと送金時に支障をきたします。ロックアップされたXRPは、何らかの理由で価格が高騰した場合にその調整のために市場に放出するなど、価格を安定させるためにも利用されます。

リップルとXRPの特徴

リップルとXRPの特徴

リップルとXRPには以下の特徴があります。

送付が速く、低コスト

リップル社の決済システムは、正式にはRipple Transaction Protocol(RTXP)といいます。RTXPのブリッジ通貨としてXRPは使用されます。

XRPを使用した国際送金システムRippleNetは、法人向け国際送金ネットワークです。銀行等の金融機関や決済サービス事業者は、RippleNetに接続することで、ブリッジ通貨のXRPを介し、法定通貨や暗号資産(仮想通貨)を送金(送付)することができます。

既存の仕組みで海外の銀行に国際送金をする場合には、送金の中継地点となる銀行(コルレス銀行)に口座(ノストロ口座)を開設する必要があります。ノストロ口座には、送金先の国の法定通貨を入金する必要があります。コルレス銀行に口座を開設せずに、取引先銀行に立て替えてもらう送金方法もありますが、いずれも国際送金の実行には準備が必要です。場合によっては複数の銀行を中継させる必要もあり、都度、手数料の発生や為替相場変動の影響を受けます。その結果、既存の国際送金の仕組みでは時間がかかる上に、手数料が高額になる場合があります。

この問題を解決するのが、RippleNetです。RippleNetは、リップル社が開発する国際送金決済ネットワークソリューションです。RippleNetに参加する金融機関はXRPを使用することで、送金先の銀行へダイレクトに送金することができるため、コルレス銀行の開設や、現地の法定通貨を事前に調達する必要がなくなり、手数料を最小限に抑えることができます。

IOU取引

決済システムはXRPそのものをやりとりするのではなく、IOU取引という仕組みを使用した残高の書き換えによる決済を行います。IOUとは借用証明書のことで、英語の「I owe you.(私はあなたに借りがある)」が語源です。IOU取引は、既存の銀行でも使われている仕組みです。

IOU取引では、AからBに1,000 XRPを送付した場合、実際にXRPを送付するのではなく、Bは1,000 XRPを受け取ることができる権利をIOUとして発行します。ユーザー間のやり取りは、IOUの発行により残高が書き換えられることで取引が成立します。

このIOUを発行する役割を担う企業や業者のことを「ゲートウェイ」と言います。ゲートウェイを担う企業や業者は、リップル社によって厳格な審査のもと選ばれます。

コンセンサスアルゴリズム

XRPはコンセンサスアルゴリズム(合意形成方法)にProof of Consensus(PoC)を採用しています。Proof of Consensus(PoC)ではリップル社が選出したバリデーターにより取引の検証が行われ、80%以上のバリデーターが合意すると承認されたとみなし、台帳に記録されます。

このコンセンサスアルゴリズムを採用することにより、XPRは1秒間に最大1,500件の処理を実現しており、送付は数秒ほどで完了します。

リップルとXRPの出来事

リップルとXRPの出来事

XRP開発の歴史は古く、現在のXRPの元となった技術は2004年に考案されています。暗号資産(仮想通貨)の元祖BTCが誕生した2008年以前の話です。考案されてから現在に至るまでの間に、以下の出来事などが起こりました。

■2017年以前

XRPの開発は、2004年にカナダのエンジニアRyan Fugger氏がRipple payment protocolを考案したのが始まりです。そののちに、2008年のブロックチェーン技術の誕生、BTCの発行を受けて、2011年にMt.Goxの創業者で共同開発者であるJed McCaleb氏によって新たにProof of Consensus(プルーフ・オブ・コンセンサス)が開発されました。

2012年にRyan Fugger氏は、リップル・プロジェクトの運営権をChris Larsen氏に譲渡。その年の9月には、リップル社の前身であるOpenCoinが設立されました。

OpenCoinは2013年にRipple Labsに、2015年には現在のリップル社へと社名を変更し、主力事業を現在の国際送金ソリューション開発にシフトしています。

■2017年

2017年10月には、RippleNetなどに関する大型カンファレンスであるRipple SWELL Conferenceが初めて開催されました。以来、このカンファレンスは毎年10月または11月に開催されています。

■2018年

2018年1月、XRPの価格は史上最高値の397円を記録しました。また同年10月に開催されたSwellでは元米国大統領のビル・クリントン氏がスピーカーとして登壇し、大きな注目を集めました。

■2019年

2019年4月にはサウジアラビアにある大手銀行サウジ・ブリティッシュ・バンク(SABB)が、リップル社の国際送金システムを基盤とした送金サービスを立ち上げました。

■2020年

2020年10月には、「Line of Credit」という融資サービスの提供を開始しました。Line of Creditは、「一般的な融資では審査が完了するまで平均2〜3ヶ月ほどの長い時間が必要である」という課題を解決するために導入されたサービスで、Line of Creditで融資を申請すると、24〜48時間ほどで審査は完了します。

■2021年

2021年3月には、「CBDC Private Ledger」の試験運用を行なっていることを公表しました。「CBDC Private Ledger」はXRPの基盤となっているXRP Ledgerのプライベート版で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行・管理するための分散型台帳です。また同年9月にはブーダン王国の中央銀行「Royal Monetary Authority(RMA)」と協業して、中央銀行デジタル通貨の試験運用を行うことを発表しました。

■2022年

2022年11月に開催されたSwell 2022では、アフリカを中心に決済プラットフォームを展開するMFS Afriaとの提携を発表しました。


この他にも、現在に至るまでにさまざまなプロダクトの開発や提供が行われています。今後もリップル社の主導により開発やサービス提供が進められることで、国際送金時のブリッジ通貨として、XRPのユースケース拡大に期待が寄せられます。

まとめ

この記事ではリップルとXRPについてご紹介しました。

XRPは、国際送金における速度を優先するためにコンセンサスアルゴリズムに中央集権的なProof of Consensus(PoC)を採用しました。その代わりに、たとえば取引を承認するバリデーターの数を増やし、関係する銀行や大企業などにその役割を分散させながら中央集権型の仕組みを改善するなど、複数の点において非中央集権的な仕組みを取り入れることで、バランスを保っています。

何よりもXRPは、まずは暗号資産(仮想通貨)による国際送金に特化したユースケースを作るという事業展開により、暗号資産(仮想通貨)が世の中で実用的に活用される道筋を作ったといえるでしょう。国際送金に掛かる時間と高額な手数料は、世界共通の課題でもあります。この課題をXRPを通じて解決できるのか、今後の動向に期待が寄せられます。

XRPの価格・相場・チャート