テゾス(XTZ)とは

テゾス(XTZ)はKathleen BreitmanとArthur Breitman夫妻によって開始されたプロジェクトです。暗号資産(仮想通貨)業界に進出する以前、KathleenはアクセンチュアやブロックチェーンコンソーシアムのR3で、Arthurはゴールドマン・サックスやGoogle Xでキャリアを積んでいます。Tezosは2014年8月にL M Goodmanという仮名の人物によりリリースされたポジションペーパーで最初に提案され、2014年9月に公開されたホワイトペーパーで詳細が発表されました。

Tezosには分散性を重視したリキッド・プルーフ・オブ・ステーク(LPoS)、より良いプロトコルの改良を目指すオンチェーンガバナンス、コードの安全性に寄与する形式検証の特徴があり、その他のブロックチェーンとの差別化を図っています。直近では活発な運用にも耐えられるようなブロックチェーンの効率化やトランザクションコストの削減が行われており、DeFi(分散型金融)のような活動にも適したインフラ作りが進行しています。

テゾス(XTZ)とは

テゾス(XTZ)は2021年3月29日時点で時価総額3,651億円で暗号資産(仮想通貨)全体では35位に位置する暗号資産です。2014年にホワイトペーパーが発表され、2017年にはTezos財団の創設とICOでの約250億円の調達を行い、2018年にはメインネットが開始されています。Tezosは次世代のスマートコントラクト環境を標榜しており、リキッド・プルーフ・オブ・ステーク(LPoS)、オンチェーン・ガバナンス、形式検証が採用されています。これらの特徴を詳しく見てみましょう。

テゾス(XTZ)の特徴

テゾス(XTZ)にはリキッド・プルーフ・オブ・ステーク(LPoS)、オンチェーンガバナンス、形式検証の特徴があります。LPoSには分散性とステークホルダーによるプロトコルの所有、オンチェーンガバナンスにはプロトコルの持続的な改善、形式検証にはプロトコルの安全性の確保の狙いや思想の背景があり、それらがテゾス(XTZ)を他のブロックチェーンとは特色の異なるプロトコルにしています。

リキッド・プルーフ・オブ・ステーク(LPoS)とは?

Liquid Proof of Stakeの前にProof of Stakeの説明を行います。プルーフ・オブ・ステーク(PoS)はStake(主にトークンの所有量)を基準にブロックを生成する権利が付与される形式で、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは異なり特殊なハードウェアや大量の電力消費を必要としません。プルーフ・オブ・ワーク(PoW)ではなくプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用する一般的な背景には環境保護や後発プロジェクトがプルーフ・オブ・ワーク(PoW)でのセキュリティを持続的に確保することの難しさがありますが、テゾス(XTZ)の場合はブロックチェーンをXTZの所有者のものにする思想があります。プルーフ・オブ・ワーク(PoW)が採用されているビットコイン(BTC)では、BTCを保有しないマイナーがこれらのブロックチェーンに対して大きな影響力を持っていますが、テゾス(XTZ)ではブロック生成の権利はXTZの所有量によって決定されるため、ステークホルダーがプロトコルを管理している度合いが強くなります。

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)にはリキッド・プルーフ・オブ・ステーク(LPoS)以外にもデリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク(Delegated PoS)があります。DPoSはトークンの所有者の投票によって選ばれた少数のノードによってブロックが生成される方式です。ノードの数が少ないためプロセスが効率化され、より高い処理能力が実現されます。ブロック生成のプロセスに直接関わる参加者の数を減らすことで、コミュニケーションコストを下げ、より高い頻度でブロックの生成ができるようになるイメージです。ブロックを生成するノードの数と分散性は反比例するため、効率化を追求しすぎると分散性が低下するトレードオフがあります。DPoSはEOS等で採用されています。

テゾス(XTZ)が採用しているリキッド・プルーフ・オブ・ステーク(LPoS)は誰もがブロック生成(テゾスではベーキングという)に参加できます。リキッド・プルーフ・オブ・ステーク(LPoS)では直接的にブロック生成に参加することも他者に自分が持っている投票力を委任することもできます。この仕組みゆえにテゾス(XTZ)ではブロック生成者の数は固定されていません。また、ブロック生成に参加するために必要なハードウェア等の要件も厳しくないため、より多くの人がブロック生成に携わり、プロトコルの分散性を高めていく目的に寄与しています。このようにプルーフ・オブ・ステーク(PoS)の中にも様々な形式があり、異なる形式を採用する背景には様々な目的や思想の違いがあります。

オンチェーンガバナンス

ブロックチェーンにおける「ガバナンス」は明確に定義された用語ではありませんが、プロトコルの運営方法という意味で使われることが多いです。つまり、プロトコルに何らかの変更を加えたいステークホルダーがいた場合に、どのような過程を経てそれが可決・否決され、どのようにプロトコルがアップデートされるか、という意味です。

ガバナンスに関連する用語として「フォーク」があります。フォークには大きく分けてソフトフォークとハードフォークの2種類があり、ソフトフォークはプロトコルルールの厳格化、ハードフォークは緩和を意味します。ソフトフォークが厳格化であり、ハードフォークが緩和であるのは語感とは反対の印象を受けますが、ルールを緩和することによって以前のルールをはみ出す振る舞いも新ルールでは認められること、つまり後方互換性がなくなることを考えると、ルールの緩和のほうがよりドラスティックな変更になりやすいとイメージできます。一般にビットコイン(BTC)などでハードフォークによるプロトコルの改良が避けられがちなのは後方互換性を持たないためにブロックチェーンが永続的に分裂してしまうリスクを取らないようにしているためです。

テゾス(XTZ)が採用しているオンチェーン・ガバナンスでは上記のフォークの過程がプロトコルレベルで実装されている点に特徴があります。つまり、改良の提案、採用をめぐる投票、採択による移行がプロトコルの機能として実装されています。ビットコイン(BTC)の場合、オンチェーン・ガバナンスは採用されていませんので、マイナーをはじめとするノードの運営者たちが自発的に新しいソフトウェアへの更新を行う必要があります。つまりオフチェーンでの作業を要します。このプロトコルの更新に対する明示的な更新意思の表示の有無がオンチェーン・ガバナンスとオフチェーン・ガバナンスの大きな差異です。ノード運営者が何もしない場合に更新がデフォルトとなる(オンチェーン方式)か、ならない(オフチェーン方式)かに優劣はなく、背後にある設計や思想によって適切な方式が選ばれます。

テゾス(XTZ)の安全性と形式検証

テゾス(XTZ)の特徴の一つに形式検証があります。形式検証は安全性を数理的に証明するもので、テゾス(XTZ)は検証に適したOCamlという関数型言語を採用しています。これによってコントラクトやノード、コンパイラの安全性を確認することが可能です。ただし、これはテゾス(XTZ)にはバグが存在しないことを意味しません。形式検証では保証したい性質を記述し、それと実装が一致しているかを確認するためのものですので、検証されていない性質の安全性は保証されません。では何がテゾス(XTZ)の特徴であるかというとテゾス(XTZ)は形式検証しやすい設計になっているという点です。

イーサリアム(ETH)ではThe DAO事件やParity脆弱性事件など意図しないバグによる資金の流出事件や凍結事件が発生しています。スマートコントラクトプラットフォームが既存金融と融合したり、DeFiのような分散型ファイナンスの規模が大きくなったりすると、事件が起きた際の被害額も必然的に大きくなります。当然、ソフトウェアテストという形で動作の検証は行われているものの、ソフトウェアテストでは特定のケースのみを検証し、未検証のケースが事件を引き起こすことまでは防げません。形式検証はソフトウェアテストに比べると実施が難しく敷居の高いものですが、証明ができればある実装が好ましい性質を持っていることは保証されます。形式検証を行うことを織り込んで、形式検証しやすいように最初から設計されていることはテゾス(XTZ)の大きな特徴の一つと言えるでしょう。

ベーキング

テゾス(XTZ)ではブロック生成のことをベーキング(Baking)と呼び、ブロック生成者のことをベイカー(Baker)と呼びます。ベイカーになるためには8,000XTZを保有する必要があり、2021年3月29日時点のレート(1XTZ=450円)を基準にすると約360万円に相当します。テゾス(XTZ)はリキッド・プルーフ・オブ・ステーク(LPoS)が採用されているので、自身が所有するXTZから生じる投票力を他人に委任することも可能です。これによって8,000XTZを所有していない人でも間接的にブロック生成に関与し、報酬を受け取ることができます。テゾス(XTZ)では約1分ごとに1ブロックが生成され、ブロック生成者には16XTZが報酬として与えられるほか、生成されたブロックを是認(Endorsement)した32のノードに対しても各ノードの変数に応じて1XTZか2XTZが与えられます。是認者はベイカーのなかからランダムで選出され、生成されたブロックに不正がないかを検証する役割を果たします。テゾス(XTZ)は現在年間で3.6%ずつインフレするように新規発行の数量が調整されています。

ブロックの生成と是認にはそれぞれ512XTZと64XTZの証拠金が必要で、二重署名や二重是認などプロトコルの正常な稼働を阻害するような行動をとった場合にはこれらの証拠金が没収されます。没収されるXTZの数量はブロックの生成や是認の機会が得られた場合の32倍に設定されており厳しいペナルティが課せられていることが分かります。

所有量が8,000XTZに満たない、ハードウェア等のインフラを自分で用意できないなどの理由で委任を行いたい場合は、委任を受け付けているノード運営者に投票を託すことで手数料が差し引かれた上でブロック報酬を受け取ることができます。委任する場合に徴収される手数料は5%~15%であることが多いです。

テゾス(XTZ)の今後

テゾス(XTZ)は2020年11月にDelphiと名付けられたアップデートを行い、ガスコストの削減やパフォーマンスの改善を実施しました。このアップデートはプロトコルの開発を担うNormadic LabsやMetastate、Gabriel Alfour等によって行われました。イーサリアム(ETH)で大きな盛り上がりを見せているDeFiは構造が複雑な分、ブロックチェーン上での処理が膨大になり、その結果として多くのガスを消費します。ガス代が高騰している際にはトランザクション手数料が高くなり多くのユーザーにとって使い勝手の悪いものとなります。今回のDelphiアップデートではガス代が従来から約75%削減され、テゾス(XTZ)ブロックチェーンのインフラとしての処理能力を大幅に向上させました。

イーサリアム(ETH)でのDeFi需要を取り込もうと多くのプロジェクトがイーサリアム(ETH)との互換性を持たせたり、ブリッジを使い一部の資産を自身のブロックチェーンに取り込もうとしていますが、その多くは分散性に乏しかったり、特定の主体へのトラストが必要なものが多いです。その中で分散性と安全性に重点を置くテゾス(XTZ)がDeFiを支えるコントラクトを処理するだけの地盤を築いたのは注目に値します。

まとめ

秒間トランザクション処理数の多さやトランザクション手数料の安さを強みとするブロックチェーンが多い中、PoSを採用しながらも分散性を重視する設計を採用しているテゾス(XTZ)は特色のあるプロトコルです。今後、イーサリアム(ETH)によって切り開かれたスマートコントラクトやDeFiの領域が発展していくなかで、用途に応じてより適切なブロックチェーンを選ぶプロダクトが増えていくことが予想され、その際に分散性や安全性、シームレスなプロトコルのアップデートを評価し、テゾス(XTZ)をその基盤に選ぶケースも増えていく可能性があります。

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