クアンタム(QTUM)とは

クアンタム(QTUM)とは

クアンタム(QTUM)はブロックチェーンの一種で、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の良いところを併せ持つブロックチェーンとして開発されている点が特長です。コンセンサス・アルゴリズムにはProof of Stake(PoS)を発展させたMutualized Proof of Stake(MPoS)が採用されているほか、イーサリアム(ETH)と同じようにスマートコントラクトを使うことができます。

スマートコントラクトを実行出来るブロックチェーンはイーサリアム(ETH)が最も主流ですが、クアンタム(QTUM)はそのいくつかの欠点を改善するネットワークとして2017年にローンチしました。

クアンタム(QTUM)とは

クアンタム(QTUM)のブロックチェーン上にはネイティブトークンのクアンタム(QTUM)が存在します。

クアンタム(QTUM)の時価総額は約975億円、ランキングでは96位前後を推移しており(2021年3月29日時点)、海外でも多数の取引所で取り扱われています。クアンタム(QTUM)は最初に1億QTUMが発行され、毎年1%のインフレーション率となるように設計されています。クアンタム(QTUM)は同ブロックチェーン上での送金やスマートコントラクトを実行する時の手数料として使われるほか、ステーキング目的で保有される場合があります。

もともと構想が発表されたのは2016年で、ホワイトペーパーではビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の特長を掛け合わせ、従来のブロックチェーンの抱える問題を解決しブロックチェーン経済圏の構築や産業効率の改善などを促進することを目指す旨が記載されています。創業者はPatrick Dai氏、Neil Mahi氏、Jordan Earls氏の3名です。Dai氏はAlibabaに勤めていた経験があり、Mahi氏は20年以上のソフトウェア開発経験者で、両名ともクアンタム(QTUM)を立ち上げる前から暗号資産(仮想通貨)に関わっていました。Earls氏は13歳の頃からプログラミングを始め、暗号資産(仮想通貨)の開発コミュニティでも活発に活動しています。ローンチ時はICOを実施して資金調達を行いました。

クアンタム(QTUM)の特徴

クアンタム(QTUM)の特徴

クアンタム(QTUM)には三つの特長があります、一つ目はビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の良いところを両方設計に取り入れている点、二つ目は独自のコンセンサス・アルゴリズムであるMutualized Proof of Stake(MPoS)を採用している点、三つ目はノードを立てやすい点です。それでは詳しく見てみましょう。

ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の長所を併せ持つブロックチェーン

クアンタム(QTUM)はビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の長所を併せ持つブロックチェーンです。

クアンタム(QTUM)がビットコイン(BTC)のブロックチェーンから取り入れているのは、UTXOという残高を管理するための形式です。ブロックチェーンの残高管理の形式はUTXOとアカウント形式(アカウントモデル等とも呼ばれる)の2つに分類されます。UTXOはビットコイン(BTC)、ライトコイン(LTC)、モナコイン(MONA)等に採用されています。アカウント形式はイーサリアム(ETH)などスマートコントラクトを実行出来るブロックチェーンの形式によく使われています。

UTXOは残高のプライバシーやセキュリティの点で優れている側面があります。また、クアンタム(QTUM)が計画された2017年以前は、イーサリアム(ETH)等で使われるアカウントモデルの採用実績がUTXOと比べて少なく、その過程でクアンタム(QTUM)は当時より信頼されていたUTXOモデルを採用したと推察されます。この点はビットコイン(BTC)の特徴を引き継いでいます。

一方で、イーサリアム(ETH)から取り入れている特徴として、スマートコントラクトが実行出来るようにEVM(Ethereumと同様のバーチャルマシン)を実装している点が挙げられます。イーサリアム(ETH)の開発言語や開発者ツールをほとんどそのまま使えるため、Dapps(分散型アプリケーション)などの開発が容易になります。

Mutualized Proof of Stake(MPoS)

二つ目は、クアンタム(QTUM)がMutualized Proof of Stake(MPoS)のコンセンサス・アルゴリズムを採用している点です。ビットコイン(BTC)の場合はプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用しており、計算力資源を用いた競争(マイニング)を通じて誰が次のブロックをつくるのかが決定されますが、Mutualized Proof of Stake(MPoS)では一言でいうと新規ブロックの生成に参加(MPoSの場合はマイニングではなくステーキングといいます)している人の中で誰が多くのクアンタム(QTUM)を保有しているかで新しいブロックをつくる人が決まります。

ステーキングに参加するとブロックの生成と共に新しく発行されるクアンタム(QTUM)を報酬としてもらうことができます。クアンタム(QTUM)は最初の5,000ブロックで、ブロック毎に2万QTUMが発行され、初期に合計1億QTUMの発行をするように設定されています。1億QTUMを発行した後は、ブロック報酬として1ブロックごとに4QTUMをブロック生成者に対して発行しています。また、985,500ブロック(約3.75年)ごとに半減期を迎え、ブロック報酬が半減する仕組みになっています。次に半減期を迎えるのは2021年の秋ごろになると予想されています。またクアンタム(QTUM)の最大供給量は107,822,406.25QTUMと決まっており、2045年頃に最大供給量に達するといわれています。

ステーキングには複数の方法があります。クアンタム(QTUM)を持っている人は自分でステーキングできるように設定されたサーバーを通じてMutualized Proof of Stake(MPoS)に参加できます。また、自分で直接ステーキングをしなくても自分の保有している暗号資産(仮想通貨)を別のステーキングしている人に委任してステーキングする「デリゲート」も可能です。通常自分でステーキングする場合はステーキングに使っているサーバーが常にオンラインであることを確認したり、プログラムのアップデートがあれば対応したりしなければなりませんが、デリゲートならそういった対応をしなくても自分のウォレットから簡単にステーキングして報酬の一部をもらうことができます。

ライトウォレット

ユーザーの観点からは使いやすいウォレットが存在するかどうかも重要なポイントです。クアンタム(QTUM)の公式ウォレットはQtum Coreと呼ばれるもので、デスクトップ版ではMac、Windows、Linuxに対応しており、スマホ版ではアンドロイド向けのものが提供されています。

クアンタム(QTUM)のスマホ向けのウォレットは「ライトウォレット」と呼ばれるものです。フルノード型ウォレットの場合はブロックチェーンに記録されている大量のデータを保持しなければなりませんが、クアンタム(QTUM)のブロックチェーン上の全データを保持している必要がなく、開発をする必要がない場合は、ライトウォレットと呼ばれる自分の取引に関するデータだけを扱うタイプのウォレットが便利で、同期も数秒で完了します。クアンタム(QTUM)のモバイルウォレットはこのライトウォレットという仕様になっており、その他にもいくつかライトウォレット形式のものが提供されています。

クアンタム(QTUM)のアプリケーション・今後

クアンタム(QTUM)のアプリケーション・今後

クアンタム(QTUM)を利用したアプリケーション・サービスも見てみましょう。クアンタム(QTUM)の公式ページではアプリケーションの一覧が閲覧でき、2021年3月29日時点では24のアプリケーションが存在しています。

少し懸念があるとすれば、いずれのアプリケーションも普及までの道のりは長く、また、ブロックチェーンのトランザクション数は日に数千トランザクションと少なく、ネットワーク全体を通して使用率が非常に少ない点ですが、現在Qtum Chain財団がクアンタム(QTUM)上のDeFi(分散型金融)を盛り上げようとしており、開発者に対して報奨金プログラムを発表しています。今後、Defiブームと共にアプリケーションが増えることが期待されます。

また、ロードマップには2020年からクアンタム(QTUM)が取組んできた3つの開発計画が示されています。
一つ目のオフラインステーキングは、その名の通りデリゲートができるようになる機能で、2020年8月にすでにリリースが完了しています。これによってより多くの人がクアンタム(QTUM)のステーキングに参加することが期待できます。
二つ目のファントムは、クアンタム(QTUM)のプライバシープロトコルです。ゼロ知識証明を活用して、プライバシーを守りながらトランザクションを行えるようになります。
三つ目のニュートロンは、スマートコントラクトを実行するためのバーチャルマシンのアップデートです。ニュートロンが完成すると、Rustなどの言語でスマートコントラクトを扱えるようになり、より開発者フレンドリーになったり、簡単にスマートコントラクトのアップグレードができるなどのメリットがあります。

まとめ

イーサリアム(ETH)のみを意識して処理能力を高めたりトランザクションの手数料の安さを強みとするブロックチェーンが多いですが、クアンタム(QTUM)はビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)のそれぞれの特長を掛け合わせているところが最大の特長です。Dappsの開発だけでなく、商用利用の動きなどもあり、今後の成功の鍵はクアンタム(QTUM)を活用したアプリケーションの数がしっかりと増えていくかどうかにかかっているでしょう。

QTUMの価格・相場・チャート