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エンジンコイン(ENJ)とは

エンジンコイン(ENJ)とは

Enjin Pte.Ltd.は2009年に創業されている老舗のゲームコミュニティ企業で、その企業がイニシアチブをとる暗号資産(仮想通貨)とブロックチェーンエコシステムがエンジンコイン(ENJ)です。ブロックチェーンゲームは日本でも世界的に知名度のある企業がいくつか存在しており、カテゴリとしては日本との親和性が高い分野です。

このコラムでは、これから購入や使用を検討している方にむけて、エンジンコイン(ENJ)の概要をご紹介します。

エンジンコイン(ENJ)とEnjinとは

エンジンコイン(ENJ)は暗号資産(仮想通貨)の名称でENJとも表記され、Enjinはプロジェクト名を指します。エンジンコイン(ENJ)はゲーム開発者に対して、ブロックチェーンの知識がなくともゲームアイテムなどをトークン化して、自身のゲームに組み込める仕組みをSDKを通して提供しています。分かりやすく説明するならば、ゲームアイテムなどに資産性を持たせて取引することを容易にする開発者ツールであると捉えれば良いでしょう。

エンジンコイン(ENJ)の時価総額は2021年3月29日時点で約2,256億円、時価総額ランキングは50位です。

Enjin Pte.Ltd.について

Enjinの運営会社であるEnjin Pte.Ltd.は、シンガポールで創業された企業です。2009年から運営されているEnjin Networkでは、ゲーマーが好きなゲームについてトピックにしコミュニケーション出来るプラットフォームを提供しています。

Enjin Pte.Ltd.はゲーム運営会社向けのモジュールも作っており、ゲーム開発者はEnjinの機能で簡単にゲームアイテムのショップやWiki機能などを作ることがでます。iOSとAndroidのアプリが用意されている他、ゲーム側が対応すれば、そのコミュニケーション機能はゲーム内にネイティブで実装されることもあります。Enjinを通して作成されたゲームコミュニティは25万存在し、このような類のサービスでは最大手の企業となっています。

基本的には一貫して、既存のゲーム開発者とゲームユーザーに対して、ブロックチェーンによるトークン化されたアイテムなどのツールを提供し、エコシステムを構築しようとしていると言えます。

プロジェクト概要

EnjinプロジェクトではUnity・Java・GodotのSDKとMinecraftのプラグインを提供しており、これらによってトークン化したアイテムを従来ゲームのエコシステムに流通させることができます。Enjinが開発するウォレットやブロックチェーンエクスプローラは、それらのゲームアイテムをサポートすることができ、Enjinのエコシステムを構築する要となっています。

Enjinの開発ツールを用いて開発されたゲームは多岐に渡ります。例えば人気ゲーム「マインクラフト」用のプラグインEnjinCraftを利用すると、ブロックチェーンをベースにしたマインクラフトのアセットを作ったり、ブロックチェーンウォレットを接続したりできるようになります。

エンジンコイン(ENJ)とEnjinの特徴

エンジンコイン(ENJ)とEnjinの特徴

ではエンジンコイン(ENJ)とEnjinの特長についてもう少し詳しく見てみましょう。

ゲーム向けの暗号資産(仮想通貨)

Enjinはトークンを発行しており、これはEnjinエコシステム内で使用されます。
ゲームアイテムの交換の媒介資産になったり、ゲームアイテムの裏付けとして利用されることが想定されます。ゲームアイテムの裏付けとは、例えば武器のアイテムがあったとして、その武器のアイテムに1,000円分のエンジンコイン(ENJ)が裏付けさせているというようなケースが想定されます。この仕組みにERC-1155というイーサリアム(ETH)の規格が用いられています。

ERC-1155規格

ERC-1155は、エンジンコイン(ENJ)の開発チームによる独自のトークン規格です。このトークン規格によって、ゲームアイテムの裏付けにエンジンコイン(ENJ)がスマートコントラクトで格納されているというような仕組みを作れます。

元々エンジンコイン(ENJ)は、ERC-20トークンとERC-721トークンを合わせて作るスマートコントラクトを設計していました。これは2018年からEnjinのエコシステム上で使えるようになっています。これをEIPとして提案し、その後、トークン規格の標準にしようとしており、現在、他のプロジェクトでもこれをトークン規格ERC-1155として利用しています。この規格はERC-20の特徴とERC-721が持つ代替不可能という特徴のハイブリッドのようなトークン規格です。

EnjinのチームはERC-1155を「Crypto Item Standard」と呼称しており、ゲームアイテムが強く意識されています。ERC-1155では、複数のERC-20、またはERC-721を単一のトークンにまとめ上げることができます。

これをどのように利用できるか簡単な例を挙げると、あるゲームの装備一式(剣や防具や兜など10アイテム)を取引するのに、従来では10回のトランザクションが必要でしたが、ERC-1155では1回のトランザクションで済むようになります。 このトークンは、ERC-20ともERC-721にも互換性をもたせることができるので、この装備一式というトークンをそのままOpenseaのようなマーケットプレイスで販売することも想定できます。

Enjinのエコシステムでは、ゲームアイテムにエンジンコイン(ENJ)を裏付け、ゲームアイテムの最低価値を保証させるという応用をしています。同じようにゲームアイテムではなく、ゲーム内通貨の最低価値を保証するということも出来るでしょう。

ERC-1155は、ERC-20やERC-721と同様、イーサリアム(ETH)上の主要なトークン規格になるだろうと期待されています。

Melting(融解)

ERC-1155にはMelting(融解)という概念があります。これはERC-1155規格のトークンをバーン(焼却)して、そのERC-1155にラッピングされているトークンを引き出す行為を指します。

既に説明したようにERC-1155で表現されたゲームアイテムは、その裏付け資産にエンジンコイン(ENJ)や他の暗号資産(仮想通貨)など資産性のあるトークンを利用することができます。この場合、ERC-1155のゲームアイテムトークンをMelting(融解)すると、そのゲームアイテムトークンは消滅して、その代わりに裏付けされていたエンジンコイン(ENJ)を手に入れることができます。Melting(融解)はEnjin Walletから行うことができます。

エンジンコイン(ENJ)とEnjinの今後

エンジンコイン(ENJ)とEnjinの今後

Enjinはブロックチェーン関連の製品を増やしており、以下のようなものが用意されています。

Enjin Wallet

Enjinが開発する暗号通貨(仮想通貨)のウォレットEnjin Walletは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など主要ブロックチェーン、ERC-721、ERC-1155に対応しています。

Enjinウォレットは、DeFi(分散型金融)の数種のプロトコルのサポートやDAppsブラウザなど、Ethereumウォレットとして基本的な機能をおおよそ備えています。エンジンコイン(ENJ)はSumsungとのパートナーシップも2019年に発表しており、この提携によってSumsungの発売するスマートフォンで推奨される暗号資産(仮想通貨)ウォレットとしてEnjin Walletがあがるようになりました。

EnjinX

また、ウォレット以外ではEthereumのブロックチェーンエクスプローラEnjinXをリリースしています。このブロックチェーンエクスプローラはゲーム向けにNFT(Non Fungible Token)などに特化したデザインになっています。

Efinity

Efinityは、エンジンコイン(ENJ)のレイヤー2の技術です。近年Ethereumのブロックチェーンは混雑によりネットワーク手数料が高騰しており、スケーラビリティ問題が顕在化しています。トランザクションをオフチェーンで処理するレイヤー2はこの問題の有力な解決策です。

ゲーム以外の分野への技術転用

Enjin Pte.Ltd.は、2021年2月に香港の投資会社であるLABS Group Limitedと提携し、世界の不動産投資をトークンで小口化する仕組みを開発すると発表しました。この仕組みの裏側にはこれまでEnjin Pte.Ltd.が開発してきたゲームアイテムのトークン化の技術や、ゲームアイテムトークンをラッピングするためのトークン規格であるERC-1155が用いられています。

計画では、Enjinのプラットフォームを通じて、ホテルやアパートなどの不動産の所有権をトークンで発行し、多くの個人投資家が参加するクラウドファンディングを可能にさせる予定です。これまで、企業や大口投資家が占めてきた大型不動産の投資領域に、個人投資家が少額の資金でも参加できる仕組みを整えようとしています。

元々はゲーム向けに展開されていたエンジンコイン(ENJ)の技術やエコシステムが、これからは他の金融資産領域にまで広がっていくことが期待されています。

まとめ

本コラムではエンジンコイン(ENJ)についてご紹介しました。Enjinはブロックチェーンプロジェクトとしてはまだ開始から3年強しか経過していませんが、イニシアチブをとる企業であるEnjinは創業10年以上の老舗企業です。すでに存在していたユーザーコミュニティや、企業との提携を駆使して、比較的着実に成長をしているとも言えるでしょう。前節で書いたとおり、ゲーム分野以外での応用にも期待が集まります。

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