ビットコインについて理解を深めていくと、「ハッシュレート」という言葉に出会います。ハッシュレートはビットコインの価格や市場の動向を予測する際に注目される指標で、ビットコインの取引をする人は知っておきたいキーワードです。そこで今回は、ビットコインのハッシュレートとはどのような指標で、ビットコインのマーケットとどのような関係があるのか、そして、ハッシュレートの見方や推移など、重要なポイントをご紹介します。

ハッシュレート(採掘速度)とは

ハッシュレートとは

ハッシュレート(Hash Rate)は、ビットコインのマイニング(採掘)速度を示した数値です。マイニングをするコンピュータの計算力などを示す数値として使われていますが、ビットコインの価格を予想する指標としても利用されることもあります。

ビットコインとマイニングについて

円やドル、ユーロなどの法定通貨は、それぞれの国や地域の中央銀行が通貨を管理しています。一方、ビットコインはどの国や地域にも属さない無国籍の資産で、中央銀行のように通貨を管理する主体が存在しません。そのかわり、ブロックチェーン技術によって、取引の内容や安全性を世界中のユーザーが監視し合う仕組みになっています。

その流通量についても同様で、円やドルなどの法定通貨はそれぞれの中央銀行が流通量を調整しています。一方、ビットコインは中央銀行のような管理者は存在しませんが、マイニング(採掘)によって新しいビットコインが毎日のように発行されています。

ブロックチェーン技術とマイニングの仕組みについて

ハッシュレートを理解するには、ビットコインを管理するブロックチェーン技術と、マイニングの仕組みも理解しておく必要があります。

ビットコインの個々の取引は「トランザクション」と呼ばれ、すべてのトランザクションはブロックチェーン上に暗号化して書き込まれています。このとき、トランザクションが保管されているのは「ブロック」と呼ばれるデータの取引台帳で、関連するブロックがチェーンのようにつながっている様子から「ブロックチェーン」と呼ばれています。

ビットコインのブロックは、約10分に一つのペースで生成されています。この、ブロックにトランザクションを書き込んでいくのが、マイニングに参加している「マイナー」たちで、マイナーには新しく発行されるビットコインで報酬が支払われます。

マイニングの報酬は現時点(2019年 3月)で、一つのブロックごとに12.5BTCが支払われています。ビットコインは約10分に一つのブロックが生成されることから、もしも、1BTCが40万円なら10分間で500万円、1BTCが70万円なら10分間で875万円という高額な報酬をマイナーは受け取ることができます。

このように、魅力的なマイニング報酬を得るため、世界中からたくさんのマイナーがマイニングに参加していますが、報酬を受け取るのは簡単ではありません。その理由は、ビットコインには「仕事量が最も良いマイナーほど報酬を得られる可能性が高い」という報酬ルール「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」があるからです。

PoWでは、マイナーにブロック生成に必要な数値「ナンス(nance)」を見つけるという難解な課題を与え、その回答をいち早く見つけたマイナーに報酬を与えています。これにより、「マイニングに成功したマイナー=高い計算能力を持っているマイナー」だけがブロックにトランザクションを書き込む作業を行い、その結果としてビットコインの取引の承認スピードが増し、信頼度が高まる仕組みになっています。

ハッシュレートの単位について

ハッシュレートは、1秒間に計算処理される回数を測る指標で、最小単位は「Hash/s」です。
たとえば、ハッシュレートが「1 Hash/s(H/s)」の場合、1秒間に1回ハッシュ計算ができることを意味しますが、実際にはもっと多くの計算が行われているため、以下のような単位で表示されます。

・KH/s(キロハッシュ)1秒間の計算能力が1,000回
・MH/s(メガハッシュ)1秒間の計算能力が100万回
・GH/s(ギガハッシュ)1秒間の計算能力が10億回
・TH/s(テラハッシュ)1秒間の計算能力が1兆回
・PH/s(ペタハッシュ)1秒間の計算能力が1,000兆回

ハッシュレートの見方

ハッシュレートとビットコイン価格の関係性について

ハッシュレートとビットコインの価格には相関があり、ハッシュレートが上昇するとビットコイン価格も上昇すると考えられています。

それには次のような理由が挙げられています。

マイナーが将来のビットコイン価格に強気だから

マイニングでは、高性能なコンピュータを24時間稼働させるため、大量の電力を消費するなど多くのコストがかかります。そのため、マイニング報酬として受け取るビットコインの価格上昇が続くと判断されない限り、最新のコンピュータを導入してマイニングに参加するマイナーは増えません。こうしたことから、マイニング性能の向上を示すハッシュレートの上昇は、ビットコイン価格の上昇に強気の人が多いと判断する材料の1つになる場合があるといわれています。

マイニング速度の向上でビットコインの信頼が高まるから

ビットコインには管理機関が存在しないことから、適正価格を判断しづらいという性質があります。そのため、リスクにとても敏感で、ハッキングなどの事件やシステム不安などが生じると、価格が大きく下落する傾向にあります。こうしたことから、システム不安の後退を示唆するハッシュレートの上昇は、ビットコインへの信頼が高まり、価格の上昇につながると判断する材料の1つになる場合があるといわれています。

ハッシュレートの推移と現状

直近のハッシュレートの推移

ハッシュレートは右肩上がりで推移し、2018年11月〜12月上旬にかけて一時的に下降しましたが、2018年12月中旬から再び右肩上がりで推移しています。その一方で、上昇を続けてきたビットコインの価格は、2018年は下降が進み、ハッシュレートとの相関関係が崩れかけています。

ハッシュ値とビットコイン価格の相関性が崩れかけている理由について、マイニング業界の成長で大手マイナー企業の寡占化が進んでいることや、ビットコイン価格の反転を予測するマイナーが多いことなど、さまざまな予測がされています。これについて確かな答えはありません。しかし、ハッシュレートの上昇によって、ビットコインのセキュリティに対する信頼が高まっているのは確かで、ユーザーにとっての大きなメリットになっています。

直近のマイニング報酬の推移

ビットコインが誕生した当初のマイニング報酬は50BTCでしたが、現在(2019年3月)は12.5BTCで、2020年頃まで同じ報酬の見込みです。マイニング報酬が一定額で推移するのは、ビットコインの仕組みに、21万ブロックがマイニングされるごとに報酬が半分になる「半減期」があるからです。

半減期のサイクルは約4年です。これはビットコインのブロックが約10分に一つ生成されることから、「10分×21万ブロック=約4年」と計算されています。そのため、半減期が訪れる時期はおよそ推測することができ、次の半減期は2020年と予想されています。

ビットコインに半減期があるのは、発行数量を調整するためです。ビットコインの総発行額の上限は約2,100万BTCと決まっていますが、半減期があるおかげでそのシステムを長く維持することができます。また、半減期によってビットコインの供給量が減るため、希少性から価格上昇も見込まれています。

その一方で、半減期によってマイナーの利益が減少することから、中小のマイナー企業がマイニングから撤退し、ハッシュレートの低下を予想する人がいます。ハッシュレートの低下は一部のマイニング企業の寡占化を意味し、悪意のあるマイナーがネットワーク全体の採掘速度の50%を超えて支配すると不正ができる「51%攻撃」のリスクが生じます。そのため、ビットコイン価格にも影響が出ると懸念する人もいます。

ハッシュレートによってマイニング速度が調整される

ハッシュレートが向上すると承認速度も上昇し、ブロックの生成スピードが速くなるように感じます。しかし、ビットコインのシステムでは、ブロックの生成が平均して10分になるように、2週間に1回の頻度で採掘難易度(ディフィカルティー)が変更され、過去2週間の平均が10分より短ければ難易度が上がり、10分より長ければ難易度が下がります。こうした仕組みによって半減期が訪れるスピードが調整され、ビットコインの流通量が管理されています。

出展:Blockchain.com Hash Rate

まとめ

ハッシュレートがどのような指標で、ビットコインの価格や市場の動向にどんな影響を与えているのかご紹介しました。ハッシュレートに注目すると、マイニングの参加状況やセキュリティの状況など、ビットコインに関するさまざまなことが見えてきます。ビットコインの取引をする際の判断材料の一つとして、ハッシュレートはこまめにチェックしておくといいでしょう。