ビットコインについて理解を深めていくと、必ず出てくる言葉が「マイニング(mining)」です。マイニングは日本語で「採掘」と訳される言葉で、一般的には石油や金などの鉱物を掘り出すための行為のことを指します。しかし、最近ではマイニングと聞くと、真っ先にビットコインのことを連想してしまう人のほうが多いのではないでしょうか。では、鉱物ではない、データの集まりのビットコインが、なぜ「採掘=マイニング」とされているのでしょうか。その仕組みについてご紹介します。

ビットコインのマイニング(採掘)とは?

ビットコインのマイニング(採掘)

マイニングはさまざまな仮想通貨の取引で行われていますが、ここでは代表的な仮想通貨「ビットコイン」を例に解説します。

まず、ビットコインのマイニングを簡単に説明してみましょう。

ビットコインのマイニングとは「取引データを承認する作業」のことで、作業に対する報酬は新しいビットコインで支払われます。大量の石の中から僅かな金などを採掘するのに似ていることから「マイニング」と呼ばれています。

「取引を承認する作業」とは?

ビットコインは世界中で毎日のように取引されていて、その金額は数十億円、数百億円といった膨大な取引量になります。これらすべての取引は、ブロックチェーン技術で管理され、世界中の人が安心してビットコインの取引ができるようになっています。つまり、円やドル、ユーロなどの通貨はそれぞれの国の中央銀行によって管理されていますが、ビットコインは「ブロックチェーン技術で管理されている」という点が、一般的な通貨と大きく違います。

では、ブロックチェーン技術で、どのようにしてビットコインの取引を管理しているのでしょうか。

ブロックチェーンでは、ビットコインの個々の取引データを「トランザクション」と呼び、それぞれのトランザクションをまとめて一つの「ブロック」を作ります。そして、ブロックには「いつ」「誰(どのアドレス)が」「どのくらいの量のビットコインを取引したのか」といった重要な情報が書き込まれていき、その取引情報を第三者がチェックして承認しています。

つまり、この「取引を承認する作業」がマイニングなのです。

マイニングは誰がしているの?

ビットコインのマイニングをしている人は「マイナー(Miner)」と呼ばれ、世界中にたくさんいます。

マイニングでは、送金取引を承認したマイナーに報酬が支払われます。ビットコインではその報酬額が決まっていて、2018年8月現在では一つのブロックごとに12.5BTCが支払われています。

ビットコインの場合は平均して約10分ごとにその間に行われた送金取引をまとめてチェック、承認をしているため、もしも、1BTCが70万円なら10分間で875万円、1BTCが100万円なら10分間で1,250万円という高額な報酬を受け取ることができます。

ビットコインのマイニングで得られる報酬はこのようにとても魅力的なため、世界中のマイナーが競うようにしてマイニングに参加しています。

マイニングの仕組みは?

ビットコインのマイニングについておおまかに説明しましたが、その仕組みをもう少し詳しく見てみましょう。

マイニングで重要なのは、新しいブロックを生成するのに必要な数値を、コンピュータの計算能力を使って誰よりも早く探し出すことです。そして、「いつ」「誰が」「どのくらいの量のビットコインを取引したのか」といった重要な取引データを、改ざんできないように暗号化してブロックに書き込んでいきます。

マイニングの仕組図

では、どのような仕組みで、取引データを改ざんできないようにしているのでしょうか。

ブロックチェーン技術で使われているのは、検索の高速化やデータ比較処理の高速化などにも使われている「一方向ハッシュ関数」で、ハッシュ関数にあるデータを入力すると、値や長さの異なる「ハッシュ値」が生成されます。このハッシュ値はとても複雑で、入力となるデータが1文字でも異なると全く違う値を示し、さらに、一度ハッシュ化されたデータは元に戻せないという性質があります。

そこで、新しいブロックを生成したマイナーは、「いつ」「誰が」「どのくらいの量のビットコインを取引したのか」という重要な取引データをハッシュ関数で暗号化し、生成されたハッシュ値をブロックに書き込んでいきます。そして、すべてのハッシュ値の書き込みが終わると、トランザクション(取引)が終了します。

なお、実際のマイニングでは「大量の計算機資源」が必要で、改ざんという悪さをするより、正直にマイニングしたほうが経済的なので改ざんが起きない仕組みになっています。

マイニング報酬を受け取るには?

マイニング工場

マイニングの報酬は、新しいブロックを生成したマイナーしか受け取れません。そのため、マイニングの報酬を手にするためには、世界中のマイナーとの競争に勝ち、マイニング作業を一番早く終える必要があります。

しかし、ブロックの生成に必要な数値を見つける作業には大量の計算が必要で、とても当たる確率が低いくじを膨大な回数引くようなものです。

そこで、世界中のマイナーは、高性能な専用ハードウェアを大量に用意してマイニングを行っています。また、専用ハードウェアを大量に稼働させるための電力や、専用ハードウェアを冷却するための設備、非常用のバックアップ電源など、充実した設備を準備してマイニングに参加しています。マイナーの中には電力が安い中国や、気温が低いアイスランドなど北欧の国で大規模に事業を展開する企業もあり、その規模などから「マイニング工場」などと表現されるほどです。

ビットコインのマイニングは、個人でも参加できるの?

ビットコインのマイニングには、個人が所有しているパソコンやスマホでも参加することはできますが、報酬を受け取るのはかなり大変です。

ビットコインが発行され始めたころはマイナーの数もそれほど多くなく、また、マイニングの存在も広く知られていなかったため、家庭で所有しているコンピュータを使ってマイニングに参加しても、他のマイナーとの競争にある程度勝つことはできました。

しかし、ビットコインの価格が大きく上昇したことで、今では世界中のマイナーがビットコインのマイニングに参加し、さらに、最新のコンピュータを大量に稼働させているため、個人が自宅のパソコンで戦いを挑んでもほとんど勝ち目はありません。その様子は「アリがゾウに戦いを挑むようなもの」などと例えられるほどです。

これからマイニングを始めるのなら、ビットコイン以外の仮想通貨のマイニングに参加するほうが、報酬を受け取るチャンスが高いと思われます。

マイニングの方法や特徴など

マイニングにはソロ(単独)マイニング・プールマイニング・クラウドマイニングの3つの方法があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットに違いがあります。これからマイニングを始める場合にはそれぞれの特徴をよく理解して、自分にふさわしい方法を選ぶことがポイントになります。

ソロ(単独)マイニング

自分でコンピュータを準備して、1人でマイニングに参加するのが「ソロマイニング」です。コンピュータに詳しい方が、趣味も兼ねて参加しているケースが多いようです。

ソロマイニングのメリット
マイニングに成功すると、報酬をすべて自分のものにできます。また、マイニングに成功する回数が増えると、報酬が一気に増えることがあります。
ソロマイニングのデメリット
マイニングに成功しないと全く報酬が得られない日があるなど、報酬のバラつきが大きくなります。また、機材をいろいろと自分で準備しなければならない、コンピュータに関する知識がある程度必要などといった特徴があります。
ソロマイニング

プールマイニング

ソロマイニングが1人でマイニングをするのに対して、複数のマイナーが協力してマイニングするのが「プールマイニング」です。マイニングに成功すると報酬はプールの管理者が受け取り、その後、参加したマイナーの仕事量に応じて報酬が分配されます。

プールマイニングのメリット
複数のマイナーが協力してマイニングするため、プールの計算力が大きくなり、安定したマイニング報酬を得やすくなります。また、ソロマイニングではマイニングに成功しなければ報酬を得られませんが、プールマイニングでは提供した計算力に応じて報酬が得られるため、報酬のバラつきが小さくなります。
プールマイニングのデメリット
プールマイニングは安定した報酬を得やすくなりますが、一定の手数料が必要になるほか、ソロマイニングのように大きな報酬を得るチャンスが少なくなります。また、ソロマイニング同様に、マイニングを始める際に機材をいろいろとそろえなければなりません。
プールマイニング

クラウドマイニング

マイニングをする企業(マイナー企業)にマイニングをしてもらう方法です。クラウドマイニングの形態は、マイナー企業に出資して報酬を得るものから、マイニングマシンをレンタルして成功報酬を得るものなどさまざまで、初期費用や手数料、メリット・デメリットなどが契約によって異なります。トラブルを避けるため、クラウドマイニングを始める場合には、事業のスキームをよく理解することが大切です。

クラウドマイニングのメリット
ソロマイニングやプールマイニングのように機材を準備する必要がなく、また、パソコンに関する専門的な知識がなくても、資金があればマイニングを始められます。
クラウドマイニングのデメリット
ソロマイニングやプールマイニングよりも初期費用がかかるケースが多くなります。また、マイナー企業の倒産や資金の持ち逃げなどのリスクもあり、事業内容や契約内容をよく理解する必要があります。
クラウドマイニング

マイニングの税金について

マイニングで得た利益の扱いは?

マイニング報酬として入手した仮想通貨を売却し利益を得た場合、株式投資で得た利益とは違い、雑所得、もしくは事業所得として確定申告をしなければなりません。

国税庁が公表している「個人課税情報第4号『仮想通貨に関する所得の計算方法等について』」によると、仮想通貨のマイニングで得た利益について以下のように記載されています。

いわゆる「マイニング」(採掘)などにより仮想通貨を取得した場合、その所得は事業所得又は雑所得の対象となります。

この場合の所得金額は、収入金額(マイニング等により取得した仮想通貨の取得時点での時価)から、必要経費(マイニング等に要した費用)を差し引いて計算します。

なお、マイニング等により取得した仮想通貨を売却又は使用した場合の所得計算における取得価額は、仮想通貨をマイニング等により取得した時点での時価となります。

出典元:国税庁『仮想通貨に関する所得の計算方法等について』

つまり、マイニングの報酬として仮想通貨を得た場合には、報酬をもらう度に時価で収入を計上して、最終的にはすべてを合算して年間の収入を計算します。

ただし、マイニングにはコンピュータなどの機材や設備代、電気代、プールに支払う手数料などさまざまな経費が必要になります。そこで、確定申告の際にはマイニングで得た収入金額から、設備代や電気代などの必要経費を差し引いて所得を計算していきます。

例)
マイニング報酬の収入 計算例
報酬 時価1BTC 月の収入
1月 0.1BTC 70万円 7万円
2月 0.2BTC 80万円 16万円
3月 0.1BTC 60万円 6万円
4月 0.1BTC 70万円 7万円
5月 0.2BTC 80万円 16万円
6月 0.1BTC 90万円 9万円
7月 0.1BTC 100万円 10万円
8月 0.2BTC 90万円 18万円
9月 0.1BTC 60万円 6万円
10月 0.1BTC 70万円 7万円
11月 0.3BTC 70万円 21万円
12月 0.1BTC 90万円 9万円

年間のマイニング報酬
合計 132万円

例)
マイニングの経費 計算例
コンピュータ 9万円※
電気代 年間16万円
プール手数料 年間12万円

年間のマイニング経費
合計 37万円

※個人の業務において、コンピュータなど10万円以上の資産については、一括で必要経費として算入できません。
参考 国税庁 No.2100 減価償却のあらまし

例)
マイニングの所得 計算例
報酬(収入) 132万円
経費 -37万円

年間のマイニング所得
合計 95万円

マイニングで得た利益の税率は?

マイニングで得た利益に対する税金は、マイナーの所得に応じてかかります。また、納税額の計算方法も副業としてマイニングをしているマイナーと、事業としてマイニングをしているマイナーでは計算方法が異なります。なお、雑所得、事業所得ともに総合課税の対象となりますので、税率は各個人の所得水準に応じて異なります。

確定申告では国税庁のホームページを参考に、分からないところを税理士、または最寄りの税務署と相談しながら進めていきましょう。

マイニング報酬として受け取った仮想通貨の売却益は?

マイニングの報酬として受け取った仮想通貨を、一定期間保有したあとに売却した場合には、報酬を受け取った時の時価よりも値上がりしていれば「売却益」が、報酬を受け取った時の時価よりも値下がりしていれば「売却損」が発生します。確定申告ではこれらの売却益や売却損も計上して、税金の課税対象となる所得を計算していきます。

例)
年間売却益 60万円
年間売却損 -40万円

年間の売却損益
合計 20万円

※基礎控除や扶養控除などさまざまな控除があるため、最終的な課税所得とは異なります。実際の申告の際には税理士、または最寄りの税務署に相談しましょう。

まとめ

仮想通貨のマイニングについて、ビットコインを中心にご紹介しました。仮想通貨に興味をお持ちになった方はさらに理解を深めて、マイニングに挑戦してみてはいかがでしょうか。